水晶は、天然石の中でも広く知られており、人気の高さから偽物も多く市場に出回っています。その美しさから高級ジュエリーとしても用いられていますが、一方で「天然」と偽り、全くのまがい物を取引している悪質な業者も数多く存在します。そうした業者に騙されないためにも、本物と偽物の違いや見分け方、購入時の注意点などを知っておくことが大切です。
そもそも水晶ってどんな石?
パワーストーンは数多く存在していますが、唯一色のついていない無色透明なストーンが水晶です。水晶は世界中に産地がありますが、中でも有名なのはヒマラヤやアメリカ、また中国などでも良質な水晶が採れるとされています。日本では、古来より山梨県が水晶産地として栄えており、今でも水晶加工の技術は世界のトップレベルです。今現在は本格的な採掘は行われていませんが、多くの土地で採掘体験などができる施設があります。
水晶の代表的な効果といえば、なんといっても強力な浄化作用ではないでしょうか。持ち主だけでなく、それをとりまく環境や空間、周囲の人々にまで影響を与える水晶の浄化パワーは非常に強く、組み合わせた他のストーンの邪気や負のエネルギーも祓います。また、コミュニケーション能力を高める効果もあるとされており、社会で生きていく上で欠かせない「人間関係」においても、持ち主にとって大きな味方となってくれます。
水晶は昔、日本の国石を決める際に最後まで候補として残った鉱石です。また、武田信玄や神功皇后など、歴史上の人物との関わりも深く、はるか昔から愛されていました。「万能のお守り石」「オールマイティな守護石」と言われるほどそのパワーはあらゆるものに効果を発揮し、現代においても、水晶の不思議な魅力や神秘のパワーは人々を惹き付けています。
水晶にも様々な種類がある
無色透明な鉱石が水晶であるとご説明しましたが、水晶が自然界の中で形成されていく中で、不純物や内包物などが入り込むとその色が変色し、違う姿となって完成されるときがあります。そうしたものは水晶から名前が変わり、別のものとして扱われます。どのようなものがあるのか、代表的な水晶の種類や、その偽物とはどんなものなのかをご紹介致します
色付き水晶
紅水晶
ローズクォーツと呼ばれ、淡いピンクが特徴の水晶です。バラ石英とも言われており、水晶が出来る過程で不純物として微量のチタン、鉄、マンガンなどが入り込むことで薄いピンク色になるとされています。ローズクォーツは比較的安価なストーンです。質の良し悪しはありますが、水晶は染料を吸収する性質がないため、人工的に色を濃くしようとしてもそれは不可能となります。
How to identify a crystal value counterfeit女性に非常に人気が高いローズクォーツですが、天然のものであってもそこまで高価なものではないので、わざわざ偽物を作るメリットがないことから市場に出回っているローズクォーツ偽物の比率は非常に少なくごく僅かです。
紫水晶
アメジストと呼ばれ、透明感のある妖艶な紫色が美しい水晶です。水晶の中の鉄分が放射線の影響などにより色がつくと考えられています。太陽光に弱く、陽の光を浴びせ続けると変色してしまう場合があります。
紫水晶はジュエリーなどにも多く用いられており、高級なものも数多くあるため、水晶同様に偽物も多く存在しています、ガラスに着色したものや、合成水晶などもあり、見分けることがとても大切になります。紫水晶は水晶と同じく硬度が高いため、すぐに傷がついてしまうようなものは偽物であると言えるでしょう。紅水晶に比べ偽物の比率は多く、本物と偽っている場合もあるので注意が必要となります。
黄水晶
紫水晶をさらに熱加工したものが黄水晶になり、シトリンと呼ばれ金運などのお守りとして親しまれています。シトリンは、偽物と本物の区別が非常に難しいストーンです。天然のシトリンは非常に希少なため、市場にはほぼ出回っていません。一般的に流通しているシトリンは、採掘される前の水晶が放射線を浴びて変色したものです。また、紫水晶が成長途中に地熱で変色してシトリンとなるものもあります。紫水晶は、人工的に熱を与え色を変える場合もありますが、物質的な変わりはないため、人の手で加工を施したところで偽物とは言えません。
変わり水晶
針入り水晶
水晶の結晶の中に、針状結晶が内包されたものでルチルクォーツと呼ばれています。水晶の中に梁が入っているような見た目のため、針入り水晶と言われています。ルチルクォーツはパワーストーンの中でも人気が高いため偽物も多く存在しています。針入り水晶の偽物で一番多いのはガラス玉です。ひと目見ただけではわかりにくいですが、よく目を凝らしてみると中に砂や人工的なラメなどが入っているものや、本物に見えるよう着色し「ルチルクォーツ」として取引している悪徳業者も多くいます。
ススキ入り水晶
水晶の結晶の中にトルマリンを始めとする柱状の鉱物が入り込んでいる物を呼びます。ほのかに緑色に見えることからススキ入り水晶という名が付けられました。ススキ入り水晶の偽物は多いとは言えませんが、全くないわけではありません。ガラス玉を用いた偽物が多く、見た目の美しさや神秘的な雰囲気をそっくりに作ったものがあります透明度が高すぎるものや、キレイすぎるものは人工的に作られたものと考えてもいいかもしれません。
水入り水晶
結晶の中に液体が入り、そのまま閉じ込められて形成された水晶のことを水入り水晶といいます。水晶の空洞に水が入るため、中の液体が揺れると光の反射が神秘的な雰囲気を醸し出してくれます。希少性の高いもので人気があり、確かに偽物も存在していますが、さほど多くはありません。人工的な水晶は、透明度の高さや美しさに特化した作り方になるので、水入り水晶のような空洞を作るのに向いておらず、作業自体が難しいことや、作成したところで手間暇がかかりすぎてしまうために、さほど偽物の流通は多くありません。しかし全くないといった事でもないので、よく見て内包物などの確認をしましょう。
水晶の偽物って何??
まず、天然水晶というのは、人の手を介すことなく大自然の力のみで作られたもののことです。偽物はというと、見た目が同じでも構成されている組織や物質の性質が異なるものとなります。いくら外見を似せていても、作られた過程や素材が違うとそれは全くの別物となりますが、偽物を本物と偽り高値で売買しているような悪質な業者もいます。水晶とガラスの違いや、一般的な偽物の定義などをご紹介致します。
「水晶」と「ガラス」の違い
水晶とガラスは、パット見ただけでは違いはわかりません。どちらも無色透明のため特徴がないので、区別するのは非常に難しくなります。天然水晶はよく見ると中に内包物が入っていますが、本物であっても肉眼ではわからないくらいの内包物が混入している場合もあるので、確実に判別することは出来ません。
水晶とガラスは、成分がほぼ同じ二酸化ケイ素となります。2つの大きな違いは結晶しているかしていないかです。水晶は分子が規則正しく配列されていますが、ガラスはそのようなことはありません。そのため同じ成分で無色透明であっても、熱伝導や硬さ、重さに違いがうまれます。人工水晶というものがりますが、これは結晶していないためガラスとほぼ変わりません。
水晶偽物の種類
溶錬水晶・練水晶
水晶の偽物はガラスの場合が多いです。練水晶というのは、水晶を加工やカットした際に出るくずや粉を溶かし、ガラスと混ぜて固めたものです。これは、温度での区別ができません。また、目で見ただけでは本物との区別が非常につきにくいものとなります。そのため本物として高額な価格で売られている偽物はガラスと同じくらい練水晶の割合が多いとされています。
合成水晶
合成水晶というのは、水晶の粉末を溶かして、人工的に結晶させたモノのことをいいます。ガラスは結晶構造がありませんが、合成水晶は人工的とはいえ、結晶をさせているためにプロの目でも見分けるのが難しいとされています。天然水晶以上の透明度や美しさをもつことから、高級ジュエリーなどの用いられたり、インテリアなどで使用されている水晶玉に多く見られるものとなります。
合成水晶で一番多いのは水晶玉
合成水晶は、球体になっているものが多いとされています。合成水晶を棒状の形に形成するのはとてもコストがかかるため、球体以外の合成水晶はあまり市場には出回っていません。逆に言うと、水晶クラスターは合成水晶の割合が非常に少なくなります。球体の水晶玉は見た目の美しさや水晶の浄化作用が強くなるなどの理由からとてみ人気が高く、高級なものでは数十万円や100万円を超えるようなものもあります。価格が高い場合、鑑別書など確実に本物であるという確証を得てから購入を決めたほうが良いでしょう。
本物の定義とは?
ただのガラスを加工したものや、練水晶のように結晶していないものは水晶の偽物であるとされても問題はないでしょう。しかし、合成水晶は結晶構成があるため、本物の水晶と同じであると考える方もいます。しかし、やはり天然とは違うとして偽物だと考える方もいらっしゃいます。水晶の偽物と本物の線引はとても曖昧で、これは本物でこれは偽物とはっきりと断言できません。
お店によっては天然以外は全て偽物としている場合や、ガラス以外は全て本物としているところもあります。商品の説明などに「天然水晶」「合成水晶」など記載しているところもありますが、ほとんどの場合は水晶のみの記載になるので、気になる方は購入前にお店のスタッフさんに聞いてみると良いでしょう。ガラスの場合、水晶とは全く別物となりますが、それ以外は人により偽物か本物かの受け止め方が違うため、一概に区別することは出来ません。
見分け方
水晶の本物と偽物の見分け方は様々あります。確実なのは鑑別書の存在や鑑定士さんに見てもらうなどですが、難しい場合もあります。本物の水晶全てに鑑別書があるわけではありませんし、購入する前の水晶を鑑定士さんに見ていただくことは出来ません。そうした場合、自分で最低限違いを見分ける必要があります。簡単にできる方法をご紹介いたしますので、是非試してみて下さい
重さ | ガラスは軽くてスカスカしたように感じ、水晶は重くずっしりした感覚です。 |
感触 | ガラスは触るとすぐあたたまりますが、水晶はひんやりした感触が長く残ります。 |
硬さ | ガラスは割れやすいものなので、手に持つと脆さが伝わり、水晶はしっかりとした硬さが分かります。 |
視覚 | 細い髪の毛などを見ると、ガラスは一本のままで、水晶は場所により2本に見えるところがあります。 |
水晶購入時の注意点
店舗
まず気になることはお店のスタッフさんに遠慮なく聞きましょう。アクセサリーなどカット加工などが施されている場合、出来上がるまでのすべての工程を説明してくれる場合もあります。これは極稀ですが、どのような処理をしたのかや、どのように加工をしているのかなど詳しく話してくれる方もいますので、そうしたお店は信頼出来ると思っていいでしょう。
また、様々な種類があるお店の場合、水晶だけでなく他のパワーストーンも見てみるといいかもしれません。多くの種類を適切に保管しているのかや、アイテムに対して丁寧な扱い方をしているのかなどは、パワーストーンに詳しくない方でも見て分かると思います。価格帯やお店の雰囲気などを見て、自分のお気に入りの信頼できるお店を見つけましょう。
ネット通販
ネットで購入を検討する場合、店舗での購入より注意が必要です。写真でしか商品を確認できないため、気になることや疑問に思っていることなどは必ず確認をしましょう。また、鑑別書はもちろんですが、購入後のアフターフォローなどの充実差も判断の材料となります。良質なショップでは、購入後もむりょうで洗浄してくれたり、アクセサリーの場合は留め具などの破損の修理を請け負ってくれる場合もあります。「売ったあとは知りません」といった所よりも遥かに信頼のおけるショップになりますので、質問時の対応などと合わせ気にしてみるといいかもしれません。
水晶を売るときの注意点
水晶を手放す時、買取業者に依頼することもあるでしょう。そうしたときは、最低限水晶の状態をキレイにする必要があります。長年愛用していると曇りがかってきたり、指などの脂で表面が汚れている場合が非常に多くあります。少しでも高値をつけてもらいたいのであれば、見た目を美しくきれいにすることがとても大事になります。
水晶を売るときは、リサイクルショップなどではなく、宝石鑑定士のいる質屋さんなどに依頼をしましょう。リサイクルショップなどは宝石や鉱石を見分けることが出来る専門の方がいない場合が多く、適切な値段がつかない場合があります。きちんと水晶を分かってくれる鑑定士さんに依頼することで、本来の価値を見出し相応の値段をつけてくれるでしょう。
今は、ネット上で仮の査定などもしてくれる業者さんが多くあるので、何社か査定を依頼し、提示された買取価格を見比べてからきめるのもいいかもしれません。大きな違いはないですが、場合によっては3000~5000円程度差が生じる場合もあります。折角手放すのならば、少しでも価値を高く見てもらいたいですね。
水晶の偽物 ~まとめ~
多くの偽物が流通している水晶ですが、その中でも本物・偽物の定義は曖昧で、人により捉え方に差が生まれます。一概に区別をつけるといったことはできませんが、ご自身が気に入ったり直感的に選ぶものは、深く考えずに手にしてみてもいいかもしれません。出会うべくして出会うような運命もパワーストーンにはあります。心で惹かれたものであれば本物の水晶であるとも言えます。いくら似せて作ってあっても、大自然の神秘のパワーは偽物には真似ができません。特別な1つを見つけて下さい。